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65歳からの、贈り物

今もズボラな私が、学生時代の遥か昔、
母親から言伝を頼まれた事がありました。




『お父さん仕事で遅くなるから、このお弁当を届けに行ってきてくれる?』

『だるいから嫌やし』

『一生懸命働いてるから持って行って』

『、、、』




夜の7時過ぎ頃、でしたでしょうか、
自転車に乗って、父の職場へ向かいました。






父は、お祖父さんの時代から、
電気関係の仕事に携わり、
職種の変遷はありましたが、
夜12時過ぎに帰ってくるのは
当たり前でした。(今なら、、)。


帰ってからも
ちっちゃなドラえもんみたいな形をした
照明器具の下、
何某らの本を3時過ぎ迄読んでいては、
朝8時には出勤して、技術課長として
頑張って下さっていました。




薄暗い、市郊外にある2階建の職場の
階段を登って扉を開けると、

ハンダが焦げた匂いと、
裸電球に照らされた父が、
メガネをずらして、微笑んでいました。



『オゥ、持ってきてくれたのか。』

『夜食のお弁当。
お父さん、今回は何を作っているの?
(多分聞いても、分からないけれど)』


『今回は、液晶画面を作っているんだ。』

『液晶、、、?』

『お前、ゲームばっかりしているだろう。
それをもっとコンパクトにして1つの製品
にする為に今頑張ってるんだ。』

『お父さんの会社はホシデンに納期を間に合わせるようにしているんだ。』



今でこそ液晶は凄く薄くて軽く等ですが、
約30年前に父親が作っていたのは


週刊誌の半分くらいの画面、

親指ぐらいの厚さ、

電源を入れて直ぐにたちあがる速さを、


子供のようなキラキラした眼で
もうすぐ出来上がるであろう試作品を
熱く語ってくれました。






ホシデンとシャープ、
その後は皆様ご存知かと。

ただ、

その当時の
父親がもてる知識、智慧、技術等を

あんな小さな会社で

65歳になっても

一瞬一瞬を

精一杯生きて

最新のものを生み出している姿に、

私は、強い衝撃を受けました。

又、自分も65歳の時には、

同じ事が出来るのかと、、、。




後、16年で父親からの贈り物(宿題)の
自分なりの返信をしなければなりません。
相変わらず、ずぼらな者でして、、。



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(上記の画像は液晶試作品ではございません。
40年程前に父親が携わって作った
電池テスターです。蓄電技術がない時代に
乾電池の使用が出来る出来ないを
測る器具です。
今はエボルタみたいに、
良いのが作られていますね。
父親はエボルタとは関係ございません。)



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